SF界隈で少し話題になっていたらしい「SF本の雑誌」(本の雑誌社)がようやく入手できたので、読んでみる。
目玉のオールタイムベスト100は選び方のスタンスとしては権威的なものの見直し、という点が重視されている。というか内容の古びたものは歴史的評価なんか一顧だにされず、ばっさばさと切り捨てられているのが特色。現在のエンタメ読者が読んで面白いかどうかというのが選択基準のよう。古参のSFファンは眉をひそめるかもしれないが、これからこのジャンルに参入してくる読者のためにも悪くないリストかもと思った。でもアシモフが落ちるのは異議はないとしても、クラークが「幼年期の終わり」しか入ってなくて、98位か・・・。
国内SFの割合が多い(100作品中43作)のと、ランキングで海外の超名作を押しのけて上位入りしているのはすこし疑問だ。配分としては、国内から25~30作くらいがいい気がする。
あとはイーガンの長編を1位に選ぶのは、外向けのベストとしてはいかがなものかと。イーガンは作家としては1位で何の文句もないけど、絶対に短編集「祈りの海」か「しあわせの理由」から読むべき。長編は正直、好事家向けで一般的なポピュラリティを持ちえる物ではないと思う。
嬉しかったのはティプトリーの「故郷から10000光年」が4位!?だったこと。自分が選んでもオールタイムベストで5位以内に入れたい1冊で、1番好きな短編「ビームしておくれ、ふるさとへ」が入っているけど、それ以外の短編も超絶技巧にSF的衝撃も内包している、偏差値でいうとすべて75以上くらいのめちゃくちゃレベルの高い短編集。SFの一つの頂点だと思う。

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