今頃になって夏休みを一日取ったので、ちょっと趣向を変えて、輪行袋をサドルにくくりつけて、到着地で泊まるロングライドに行くことにした。
ちょうど今月の雑誌「自転車人」に、「アタック299」と呼ばれる、299号沿いに4つの超有名な峠を1日で上るロングライドイベントの記事を読んだのだが、距離にして170kmで3000m(!)上り、「ツールの山岳ステージに匹敵する獲得標高」と紹介されており、チャレンジしてみたいと思ったのだ。
コースは荒サイの上江橋から15号で入間を越えて日高から299号に入り、そのまま正丸峠、志賀坂峠、十石峠、麦草峠を越えて、前日に慌てて予約した蓼科の宿まで走る。本来のイベント通りだと始めに山伏峠を上るところを正丸峠にしているが、初めての峠を3つ上るのはさすがに不安だし、山伏峠は299号から離れたところを走るので、よりアタック299の趣旨に近いのでは。自走で飯能の辺りまで行くから距離も雑誌のものより50km長く、220km以上走ることになるが「まあなんとかなるだろう」と楽観的に考えていた。
前日は宿探しや、コースの確認などに時間を費やしたので、寝るのが3時過ぎになってしまう。起床は7時15分、出発は8時ちょうどになってしまった。ちなみにアタック299は最初のスタートが午前3時、麦草峠のゴール締切りが夕方の3時で制限時間12時間となっており、逆に言えば、それだけかかってしまう可能性があるコースということなのだろう。スタートの時点で「宿につくのは夜になってしまうな」と少し心配な出だしになってしまった。そういういうわけで、今回は休憩も補給だけにして1回15分以下とし、写真もほとんど撮らず峠の頂上だけ証拠写真のように撮影したくらい。テキストだけの殺風景なエントリになります。
<正丸峠まで>
長丁場なので299号に入るまでは無理せず飛ばさずに走る。さすがに平日なのでロード乗りにはほとんど出くわさない。一度目の補給を299号の正丸峠近くのコンビニ(スリーエフ?)で取る。ここまででの距離が60km程度、時間にして3時間くらい。時間がかなり押している。299号は正丸トンネル手前の3kmくらいが厳しくなるので今日は早めにインナーに入れて走る。あまり疲れを感じずに正丸峠の上りに入り、くるくるくるくる回して手を抜いて上る。白石くらいの勾配だと無理だが、正丸峠くらいの緩さならほとんど足を使わずに上れるようになった。上り終わったのが11時20分。
後輪は数日前オープンコルサがサイド切れしたため、ルビノプロの赤を買ってしのいでいる。
<志賀坂峠~恐竜センター>
正丸峠から北への下りは道が悪くてものすごく走りにくい。ただそこさえ抜ければ秩父までは道も広くて舗装も良い下り基調で楽しく走れる。途中の「道の駅あしがくぼ」で休憩、「ずりあげうどん」の大盛りで炭水化物を十分に補給。再出発がちょうど12時。
秩父から志賀坂峠への道は、前回走ったときは途中でもう戻ろうかと思ったくらいきつく感じたが、今回はものすごく楽に感じる。気温が低いから体力の消耗が抑えられているためか。峠前の最後のコンビニであるセーブオンで補給。志賀坂峠に近付くに連れて(残り8kmくらい)勾配が上がってくると、徐々に苦しくなってきた。志賀坂峠の頂上通過がちょうど14:00くらい。ここから先は今まで走ったことの無い道に入る。
志賀坂峠の群馬側の下りは超ヘアピンの連続でテクニカルな下りの好きな人は楽しめるのだろう。ただわりあいすぐに集落のある平地になってしまい、美味しい部分はそれほど長くなかった。それにしてもロード乗りを全然見かけない。荒サイを出てから100kmくらい走っているのに一人もすれ違っていない。バイク乗りは平日なのにかなり多く走っているが。時間が遅れているので綺麗な景色も我慢して写真を取らずに走ってきたが、耐えられず停止を余儀なくされたのがこれ↓
小学校の頃は図鑑や書籍を読みふける恐竜少年だったが、もっぱら興味の対象はトリケラトプスやらステゴサウルスのような派手目なものばかりに目が行っていたので日本の恐竜はフタバスズキリュウくらいしか知らなかったが、こんな近くにも博物館を建てられるくらいの恐竜がいたとは!まったく立ちよる時間が無かったが、建物もそれなりの大きさがあったので今度時間に余裕を持って来て、じっくりと館内見学をしたい。
話は変わるが、昔、内モンゴルに行った時に強引にツアーに組み込まれて行った博物館はすごかった。照明やレイアウトなんて概念が存在しないような無造作さで、真っ暗な中に雷竜類(ブロントザウルスの仲間)の巨大な化石が触れるくらいのところにゴロゴロと置かれていたりして、日本のようなロープ制限などほとんど存在しなかった。化石には埃がつもっていたりしたが、おおらかでスケールの違いを感じた。
後ろ髪を引かれながらも恐竜センターを出発。この辺りから少しづつ疲れを感じてきたので、日航機墜落慰霊記念碑の手前にあったJAのスーパーで補給。ベンチで食事しながら15分ほど休む。ここで休んだのは結果的に正解だったようで、この地域はほとんど補給できるポイントが十石峠まで無い。一つ間違えると危ないので、群馬や長野を走るときは店を見つけたら即補給を鉄則にしようと思った。
それにしても群馬に入ってから坂の勾配がきつくて長く感じるようになってくる。疲れてきたための感覚的な錯覚もあるのだろうが、実際少し地形的に険しくなっているようにも感じる。
「道の駅上野」を過ぎて少し走っていると、いつの間にか道が細くなり十石峠に。なんだか起点がよく分からないうちにいつのまにか始まっていた。
<十石峠の素晴らしさ>
この旅の中で一番楽しかった上りは十石峠だった。
上り始めは渓流がそばを流れ、水音と瑞々しい緑の景色が美しい。ゆるやかな勾配が続くが、時折勾配が急に上がったりと変化もある。上っていくと少しづつ植生が変わっていき、川を眼下に見る大きな橋を渡ったりするあたりから勾配もきつくなっていく。終盤はかなりギアを軽くしてもきつい勾配が延々と続く。これまで上ってきた正丸峠、志賀坂峠に比べてレベルがまったく違う峠で、さすがに手強い。
どのくらい続くのか確認せずに上り始めたので「いつ終わるのか」だんだん心配になってしまうくらい上っても上っても頂上に着かない。山頂に近付いてきたか?と思われるあたりで時折平坦や下りになり、「あれ、いつの間に頂上にを過ぎたのだろう?!」と思ったがいずれもぬか喜びだった。後でわかったが、頂上はきちんと判りやすい見晴らし台や木碑も立っているので、まどわされることなく存分に上ればよい。目安としては他の峰まで電線を延ばしている大きな送電線がある。これがすぐそばにあるあたりまでくれば、頂上まであと一息だ。
この峠の中ほどで左のひざの内側の下あたりが痛くなってきた。自分はここが一番弱いらしく、走っていて真っ先に不調が出るのがこの箇所だ。軽く回すように意識していてもギアの残りが少なくなってきて34-19や21で回す場面が多くなってくる。さすがに疲労が出てきている。
肉体的にはそんなきつい状況だったが、十石峠は本当に上っていて楽しかった。道はかなり整備されており、何の心配も無く走れる。がけ崩れ防止で岩肌なども処理されているが、その見た目がいかにも自然で美的に仕上げてある。上っていくうちの景色の変化、地形本来の美しさ、それら全部をひっくるめて、上っていて目に入る景色がみな美しいのである。さらに理不尽な急勾配こそ無いものの、勾配だって特に終盤に入れば決して楽ではない。バリエーションに富んだ、変化の多い峠で走っていて本当に楽しかった。
1時間くらい上っていた気がするが、ようやくのことで頂上に。山頂到着が16:15分。
時間がいよいよもって切迫しているので、撮影もそこそこに1~2分でそのまま下りに。十石峠を境に群馬県から長野県に入る。今日一日で3県を自転車で走ったことになるわけだ。自分の家は埼玉南端の和光市で、tなりの東京の境の成増まで1kmくらいの場所だが、「ちょろっと成増に入ってからくれば4都道府県横断だったなぁ」としょうもないことを考えた。疲れている。
十石峠の下りも道が綺麗で見通しも良く、急カーブもほとんど無しと素晴らしい道だった。売り切れ間近だった足を少しでも回復するよう休めつつ、かつ出来る限りいそいで走る。299号からいったん141号に入ったところに開店したてと思われる綺麗なセブンイレブンがありここで補給。胃が疲れてきたのか、お腹が空いているのになかなか食べる気になれない。赤飯おにぎりとドラ焼きを無理して水で流し込むように食べる。
店の前で地元の方にどこから来たの?と話しかけられる。「埼玉の和光から180kmくらい走って来た」というと、和光や朝霞でも仕事でたまに行くというのでひとしきり雑談。母が長野の伊那出身なことを話したら親近感を持ってもらえたようだ。「これから麦草峠を越えて蓼科で1泊する」ことを話すと、「大丈夫か、無理するな。車で連れて行ってやるから。麦草峠は大変だぞ」と親切な申し出をされる。見ず知らずの他人にこんな親切な申し出をされて感激したが「いや、それではここまでがんばってきた意味が無いから」と失礼にならないよう感謝しつつも出発。「電話番号教えてやるから、困ったら電話しろ」ともいってくれた。めっちゃいい人だった。
麦草峠を上り始めたのは17:40分くらい。まだ日没まで1時間くらい残っている時間だった。
長くなったので後編につづく
<走行データ>
走行距離 231.72km
走行時間 10時間15分37秒
Ave 22.6km/h
Max 62.8km/h

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