「アタック299」のコースを走ってみた(後半)麦草峠~蓼科

(承前)麦草峠を上り始めたのは17:40分くらい。「麦草峠まで26km」の看板があったので、1時間半くらいで頂上までいけるか、と頭の中で計算して上り始める。ところが出だしからけっこうきつい。見た目はそれほど勾配があるように見えないので、体力的にもうかなり厳しい状態なのだろう。スピードが15kmくらいしかでない。それでも初めのうちはまだ明るかったので余裕があった。
上り始めて30分ほどでどんどん暗くなってきて、しばらくすると本当に真っ暗になってしまう。麦草峠は街灯というものが皆無なので、頼りは貧弱な自転車用ライトだけだ。ライトは2灯(キャットアイの単三2本LED、GENTTOSの閃)装備していたが、電池が心もとないので暗いのを我慢してキャットアイの1灯だけ使用。

暗くなってくると、自分でも意外なくらいものすごい不安になる。
まず悪い方に悪い方に想像力が働く。たとえば「もし今熊が出たら助からないだろうな」とか考え出す。「熊出没注意」の看板も出ていたし、ゆえのない心配ではない。熊は獲物を追うときなどは上りで時速50kmのスピードが出るそうだ。時速15kmでへろへろ上っているような現状では遭遇したら、どう頑張っても逃げ切ることは不可能だ。さらに熊は何キロも先から獲物のにおいを嗅ぎ付けるらしい。襲われたとしたら車もほとんど通らない(上っている間に追い越されたり、すれちがった車・バイクは10台未満)この峠では、運良く助けてもらえる可能性も低いだろう・・・。
そんな心理状態で上っているところに、真横の茂みから大き目の動物が動くようなガサガサッという音が間近で聞こえたりする。実際は熊ではなく狸か何かなのだろうが、もう残る力を振り絞ってぺダルを踏んで、全速力でその場を離れる。そんなことが3回ほどあり、精神的にかなりきつかった。

夜の人気のない峠というものは本当に怖い。これは実際に走った経験がないとわからないと思う。しかも長かったので肉体的にも精神的にもへとへとになった。
頂上に到達したのは19:40頃、2時間ほど上っていた計算だ。頂上は特に何も無く、普通の道路そのままだった。「麦草峠2127m」の標識だけ上に見えたが、写真を撮るような余裕などなく、そのままアウターに入れてすぐに下る。下りは少しは気楽になったが、こんどはめちゃくちゃ寒い。20km近くを一気に下るので、ウインドブレーカー程度ではとても我慢できない。寒さで腕が震えハンドルをしっかり保持するのも苦労する。歯がかみ合わずガチガチいわせながら我慢して、路面を見ながら絶対にパンクしないよう細心の注意をしつつ下る。この人気の無い寒い闇の中で、もしパンクなどしたらと思うとぞっとする。麦草峠の茅野市側への下りは「メルヘン街道」と名づけられており、そこかしこに「メルヘン街道」の看板があるが、この過酷な状況に「何がメルヘン街道じゃ!」と理不尽な怒りをぶつけながら下った。

それでも30分?ほど下ると人家が見えてきて人心地がつく。不審者と思って延々と吠え立てる犬すらいとおしい。299号から分岐でビーナスラインに入り、蓼科へ。旅館が点在する地帯に入り、しばらく走ると宿泊先の旅館があるはずだが暗くてなかなか見つからない。一時間くらいさらにさまよって坂を何度も上ったりしつつ、ようやく「蓼科湯菜の宿 天望館」に到着。
自転車を輪行袋にしまい、チェックインが21時10分くらい。ここはネットで探した旅館で、前日ネットから自動予約可能、素泊まりで8300円ちょいだった。築後新しいようで、建物はかなりきれいだが、仰々しいものが何も飾っておらずシンプルな宿で、館内を飾るのは星と山岳を被写体にしたきれいな写真くらい。なかなか趣味がよい。牛山俊男さんという方が撮影者だが、写真には疎いのでどんな人かはよく分からない。
落ち着いてから風呂に入り、ウェアを洗い(着のみ着なので、乾くまで浴衣でずっと過ごす)、しっかり足にマッサージをして明日にそなえる。こりずに明日は信州の峠めぐりをする予定なのだ。
困ったのは、素泊まりなので夕食も無く、もちろん周辺に食べられるような施設も21時過ぎで開いていないので、空腹なのに何も食べれない。旅館内でおみやげのりんごの砂糖漬けと濡れせんべいを食べビールを飲んで、空腹を我慢しながら23時に就寝。

麦草峠はすぐに日が暮れてしまったので、周りがまったく見えず、景色などの印象が何も無い。有名な峠にせっかく来たのにもったいないことをしてしまった。いずれ茅野駅輪行か、日のあるうちに着くようスケジューリングして再チャレンジしたい。

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