せっかくのサービスデーなので、避暑もかねてT・ジョイシネマ大泉で映画をはしごする。
「借りぐらしのアリエッティ」「インセプション」「告白」の3本。
「借りぐらしのアリエッティ」 米林宏昌
事前情報も何も仕入れず、まっさらの状態で観た。悪くない。
自分的ジブリランクでは「ハウル」「ぽんぽこ」「耳をすませば」よりは面白く、「ポニョ」には少し劣るくらい(あまりの世間の酷評におののいて、原作が好きな「ゲド戦記」だけはいまだに観てない)。
祖父の代から言い伝えられた、いるかどうかわからないが、運がよければ会えるかも、という小人たちの存在――もうこの設定だけでぐっときてしまう。
中盤以降、お手伝いの老女のキャラクターと行動に多少違和感を感じたりもしたが、これは無いだろう、というほど酷くは感じず、展開もラストも十分に許容範囲だったのでOK。
以下雑感。
・カマドウマをはじめ、床下の生物を毒抜きしてファンシーにし過ぎ。カマドウマなんて、実物はゴキブリに次ぐくらいおぞましいのに。
・病気の少年。悟りきったような老成した感じが嫌。ジブリの少年キャラはなぜこうも類型的になってしまうのか。
・切手を絵画風に飾ってたり、窓の風景が写真で作った壁紙だったりとディテールは気に入ったところも。でも宮崎監督の最盛期のような、偏執的なまでのこだわりやアイデアの奔流に比べるとちょっと物足りない。
・猫とアリエッティの関係。最後、唐突に仲良くなる感が。
・「借りる」という言葉の追求の不徹底。「もらう、勝手に使う」とは何が違うのか?何らかの形で返すのか?
・原作つきだと企画の段階からまずメッセージ性・時代性ありきな感じ。ジブリはもっとオリジナル企画で勝負してほしい。
「インセプション」 クリストファー・ノーラン
「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督のSF風映画。
個人的にはイマイチ。SFの形を借りて、別のものを語ろうとする作品や、変わったことをしてちょっと驚かしてやれみたいな作品にはあまり好感が持てない。
奥さんとどうこうの話が、正直どうでもいい。結局最後は陳腐なインナースペースの物語だし。
夢の世界、といいつつ、マトリックス以来のヴァーチャル・リアリティの世界との差異がほとんど見出せないのも不満。夢の中特有のもっと非論理的で、ダークで異常な感じを表現して欲しかった。
・重力の位置が次々に切り替わるホテル内のアクションシーンは文句なしにかっこいい。このシーンだけでも見る価値はある。
・ドンパチの冗長さ(特に雪上のシーン)、絶え間ない画面の揺れ、音楽のセンスの悪さあたりはマイナス。考えてみるとダークナイトでも気になった。
・SF絵的にはけっこういいシーンも。エッシャーの階段のシーンがちゃんと伏線回収されていて笑った。波が打ちつける廃墟ビル群の絵なんかも、バラード風でなかなかのスケール感。
ただ全体としてやはり散漫な印象はぬぐえなかった。無駄に長い。
「告白」 中島哲也
現代の学校の学級崩壊っぷりをほぼ完璧に表現していて、実にリアルでイヤな感じだった。素晴らしい。
立ち読みで最後だけ確認したところ、小説版のラストは「~あなたの更正はこれから始まるのです」まで。「なーんてね」で締める映画版のラストの救いの無さの方が、この話にふさわしい。
全篇に漂う明るい虚無感は、何もかもが白々しくうそ寒いこの時代の空気感をうまく捉えている。
今回はこれは当たりだ!というほどの作品には当たらず。
公開中で見に行きたいのは「ぼくのエリ」「宇宙ショー」と「ゾンビランド」。
ネタとして「私の優しくない先輩」もちょっと興味がある。

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