雪が降っている。
こたつで読書の日。2冊読了。
1冊目は「友を選ばば」 荒山徹 講談社
ネタの濃さに定評のある荒山徹による「三銃士」トリビュートとあらば、どんな奇想天外なものになるか。ワクワクして手に取らざるを得ない。
「三銃士」は高校の頃、「モンテクリスト伯」「黒いチューリップ」あたりと一緒に読んでいるが、さすがにほとんど覚えていない。黒幕のリシュリューがえらいかっこよかったのと、悪女ミレディーが魅力的だった印象が残っているくらい。「ゼンダ城」とか「紅はこべ」「勇将ジェラール」といった、この系統の歴史冒険活劇ものにはしばらくはまった時期があった。
銃士隊で副隊長を務めるようになったダルタニャンが本作の主人公。かつて冒険で生死を共にした三銃士の面々とは、環境や立場の変化により、疎遠になってきている。 そんなある日、侵入したイングランドの盗賊団を、追跡・捕獲する任務を命じられ、イングランド側の協力者とともに捜査に乗り出すが・・・。
あっという間に読了。
う~ん、期待通りであり、期待外れでもあるというのが感想。
荒山ファンには正体が自明の、謎につつまれた隻眼の東洋人ウィロウリヴィング(どんだけ直訳なんだ!)とダルタニャンとのチャンバラとか、ケルト人の旧文明、そして黒幕が召還する名状しがたき神に、ネス湖の怪物・・・。道具立てや粗筋でネタとして人から話として聞くならものすごく面白そうだし、読んでみたいと思うはず。
何故か異様に力の入った拷問シーンも素敵。
伝奇ファン大喜びの、あの神話っぽい「名状し難き~」とかのフレーズが出てきたときは「来た!」と思った。過剰なまでのサービス精神はやはり大したもの。
気になったのは、舞台をまだ自分のものにしきれていない感じ。
異国の歴史物の小説では、細かいディテール描写の積み重ねによって、作品世界に説得力がもたらされる。そういう部分では細かな描写がちょっと借り物っぽく、物足りなく感じる。下調べで発見した材料を嬉々として並べるような、自信と喜びが伝わってこない。
フランスからイングランド、スコットランドと舞台が広すぎて、各々が取材不足な感じ。
ダルタニャンもウィロウリヴィングも個性がやや弱いし、荒山小説としてはやや薄味に感じた。韓国や日本を扱っている時に比べると、チラリと見せる毒が無いのも寂しく感じる。
まぁ続編もありそうなので、そっちに期待。

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