高千穂遥「ヒルクライマー」

ロードバイク

高千穂遥の「ヒルクライマー」を購入、その日のうちに読了。
中年でロードを始めながらアマチュアのヒルクライム界で圧倒的な強さを誇る40代のクライマーに、陸上選手出身の天性のハイケイデンス才能を持つロード初心者の青年が挑戦、家族やチームメイトを巻き込みながらクライマックスの栂池ヒルクライムレースで両者が激突する――といったストーリー。

2時間弱くらいで読める軽めの内容。こういう小説は多少は独善的な主張や、情念的な愛が表に出ているような個人的なものが好きなので、その点で少し食い足りなかった。高千穂さんの理知的な整理された書き方が、今回は少しマイナスに感じる。エッセイはあれでいいんだけれど。
自転車にはまってしまった者の業(ごう)、家族と自転車とのバランスや関係、それぞれのレベル・環境にあった楽しみ方など、ちゃんと実体験に基づいて描写されているのは好感が持てる。ただ1冊にいろいろ取り込もうとしすぎてストーリーの流れが少し速すぎるように感じた。3冊本くらいでじっくりと描写した濃いやつにしてくれた方が好みだ。あとは自分は神奈川や奥多摩のコースはまだほとんどなじみがないので、それほど実感をもって読めなかった。そっちの方で走っている人はより楽しめるのでは。

キャバ嬢のロード乗りの設定はうまいなぁと思った。よ~し、パパ、ボーラウルトラ買ってあげちゃうぞ!のシーンが好き。

贅沢いわずにロードレースの、しかもヒルクライムレースというニッチなテーマの小説が出版されたということを喜ぶべきなのかもしれない。

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