9月の読書メモ① [ふだんの嗜好編]

よし、今週はがっつり乗るぞ!
と気合いを入れていたのに、木曜に引き続き、明日も降水確率100%とか…。

自転車停滞期につき、最近は「読書の秋」を言い訳にインドアな日々。

<最近読んだ本(普段の趣味系)>
「フリッカー、あるいは映画の魔」 セオドア・ローザック 田中靖 文藝春秋
「キルン・ピープル(下)」 デイヴィッド・ブリン 酒井昭伸 ハヤカワ文庫
「柳生薔薇剣」 荒山徹 朝日新聞社
「最後のウィネベーゴ」 大森望/編訳 河出書房
「NOVA1」 大森望/責任編集 河出文庫
「ミサキラヂオ」 瀬川 深 早川書房
「チューバはうたう mit tuba」 瀬川 深 筑摩書房

面白い本に当たることが多かった。
この中ではプロパーSFの、ブリンの「キルン・ピープル」が一番つまらなかった。冗長でだるい。

「フリッカー」はエロくて舌鋒の鋭い姉さん評論家に、ジャンク映画の熱烈な愛好家という二人の主要登場人物の映画論がすばらしい。カタリ派にテンプル騎士団と、伝奇小説としてもお約束を踏まえて心にくい。フランス中世史の教授が、おぞましい宗教弾圧の隠された歴史を語る下りとか、ああ伝奇小説の愉しさここにありという感じ。惜しむらくは終盤、敵地に乗り込むかたりから展開が読めてしまうこと。エンディングもなんだかなぁという感じ。

荒山徹「柳生薔薇剣」。荒山徹は初読、時代小説読むのも久しぶり。
柳生十兵衛には彼よりも手練れの姉がいた。その名も柳生矩香(のりか)。
取り上げるテーマが今までにない面妖なものばかりで、朝鮮妖術師まで出てきたり、ちょっと間違えればキワモノになりそうなラインぎりぎりを攻めてくる。山田風太郎の忍法帖風の展開なのにしれっとした顔でもっともらしく怪しげな歴史解説が入る。本当に面白い。他の作品も追いかけなくては。

「最後のウィネベーゴ」は「女王様でも」「タイムアウト」「スパイスポグラム」と表題作の「最後のウィネベーゴ」を収録。表題作は犬SF短編の代表作、ミステリ的な構成もよく出来ている。っても犬SFってあんまりぱっと思いつかん。長編ならクーンツ「ウォッチャーズ」、ステープルドン「シリウス」、ウィリス「犬は勘定に入れません」あたり?

「NOVA1」はどちらかというと先に読んでいた「NOVA2」の方が(東浩紀や宮部みゆきなど)刺激的な作品が多かった。ただ飛浩隆の「自生の夢」は、2冊の中でもずば抜けた出来。伊藤計劃「屍者の帝国」、続きが読みたいっ!小林泰三「忘却の侵略」、SF部分じゃなくて、へタレ男の思考法と、その言説にあわせてくれるヒロインのやり取りが好き。この3つが個人的ベスト3で、あとは斉藤直子「ゴルゴンダ」北野勇作「社員たち」が好き。

「ミサキラヂオ」はファンタジー小説大賞っぽい?感じの作品。四季を小題にした4章構成で、どれも面白かったが、やはり「秋」がいちばん良かった。泣かせが下品じゃないのが好み。バッハの無伴奏のプレリュードで締めるあたりがうまい。音楽教師の曲のチョイスがマニアックで楽しい。上品な趣味、抑制された知性に、読みやすいが軽薄ではない文章で、わりと好みの作家。

「チューバはうたう mit tuba」 瀬川 深 筑摩書房
「ミサキラヂオ」が気に入ったので、デビュー作のこっちも読んでみた。表題作に加え「飛天の瞳」「百万の星の孤独」の2編を収録した短編集。まだちょっと生硬な文章で、逆に「ミサキラヂオ」での成長を感じた。
研ぎ澄ました凝集性ではなく、外に開いていく物語。2冊を読んだ限りでは、長編向きな気がする。奥泉光や古川日出男のように、音楽薀蓄を楽しませてくれる作家の登場は嬉しい。

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